さまざまなサービスや商品の価格が上がるなか、外食を控え「自炊」で節約する傾向が高まっている。積水ハウスの研究機関の住生活研究所が5月に発表した「物価上昇による暮らしの調査」(全国の20~60代の男女540人を対象)によると、物価上昇や光熱費高騰により、約8割が「節約をした」と回答した。節約した項目は、最多が「外食」45.6%、次いで「食料品」33.1%。同研究所によると、「節約」を理由にアフターコロナでも外食意向は増加せず、コロナ禍前と比べ42.4%の人が自炊の頻度が増えたという。
とはいえ、自炊をしたところで、それが必ずしも節約につながるとは限らない。確かに上手に自炊すれば、節約に一定の効果は見込めるだろうが、逆に出費が増えてしまう残念な人もいるようだ。では、どんな人が自炊での節約に“向いていない”のか。
「この料理にはこの具材」と「型」にこだわる人
IT企業に勤務する20代女性・Aさんは、同棲する彼氏のことを「節約のための自炊に向かないタイプ」だと感じている。きっかけは「やきそば」だった。
「2人ともやきそばを食べたくなり、私が冷蔵庫の食材でやきそばをつくりました。でも、豚肉がなかったので、少量あった鶏肉を代用。さらにちくわも入れたんです。お肉が少なかったたらアレンジしたのに、『やきそばは豚肉だし、鶏肉もちくわもありえない』と言われてしまいました」
その後も、自分なりの、料理の「型」にこだわる彼氏に戸惑ったというAさん。豚汁はジャガイモ必須。みそ汁は豆腐がマスト、チャーハンはチャーシューでハムはNG、けんちん汁には、ぶなしめじではなく干し椎茸……など、こだわりは強かった。ある時は「八宝菜なのに具材が少ない」といったクレームもあったという。
「彼が作ることもありますが、『人参がないからアレを作れない』など、とにかく具材のセオリーにうるさいんですよね。何か足りないことに料理途中で気づき、いきなりスーパーに行ったりすることも……。こだわりが強いので、節約にならないんです。彼が自炊をすると、食費がかさむ一方な気がします」(Aさん)