結果、何百万円もかけて御三家に合格させたのに、入学後、学費が払えないから公立に転校させるというパターンも目立ってきたという。開成中学の学費は年間67万6200円で月額5万6350円。この額の支払いに困窮するケースが出てくるのはどうしてなのか。
正直、受験対策の時期に多額の塾代を課金するならば、入学後6年分の学費を支払えるだけの蓄えをしておけばよいのに、とも思うが、急にリストラされた後に再就職がうまくいかなかったり、住宅ローンの支払いを優先せざるを得なかったりすることもあるのだろう。
このように、今、高収入のエリートサラリーマン層というのは経済的に安定しない。そして、高偏差な学校ほど「世帯収入が高い、専業主婦家庭」が入試で有利になる。結果、経済的に安定感がない高収入サラリーマンと専業主婦の家庭の子どもがいる割合が増えるので、在学生向けの奨学金などの“救済処置”が必要になってくるわけだ。
次回は、実際に子どもを中高一貫校に入れた後に、経済的に貧窮した家庭の実例を紹介しよう。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)では小説『ボリュゾっていうな!~ギャルママが挑む“知識ゼロ”からの中学受験』を連載。