各社の世論調査で岸田政権の支持率が急落している。岸田文雄首相は今国会の会期末での衆院解散の「見送り」を表明する事態となったが、広島G7サミットの効果で一時上向いた支持率は、首相長男のスキャンダルやマイナンバーを巡るトラブル、そして肝煎りの政策であるはずの「異次元の少子化対策」の不評によって下落トレンドが鮮明となっている。
毎日新聞が6月17、18日に実施した世論調査では内閣支持率は33%と、約1か月前の調査から12ポイントも下落。朝日新聞の同期間の調査でも42%となり、前回調査から4ポイントの下落となった。大手紙政治部記者が解説する。
「6月に入って自民党が行なった情勢調査では、自民が大幅議席減となる結果が出たとされ、とてもではないが解散が打てる状況にはなかったという。首相秘書官だった長男・翔太郎氏の公邸での忘年会問題や、マイナンバーで他人の公金受取口座が登録されるなどトラブルなどが発覚。公明党との選挙協力に綻びが出たことも大きかったとされる。加えて、岸田首相が支持率アップにつながると踏んでいたはずの『異次元の少子化対策』も不評です」
岸田首相はわざわざ6月13日に自ら会見までして「異次元の少子化対策」の内容を発表したが、前述の朝日新聞の世論調査では、これらの対策によって少子化問題の改善が「期待できる」と答えたのはわずか23%。「期待できない」が73%にのぼるという結果となった。
首相自ら発表した少子化対策の目玉のひとつが「児童手当の拡充」だった。所得制限を撤廃し、支給対象を高校生まで広げる。さらには「第3子以降は月額3万円に倍増する」と岸田首相が高らかに宣言したが、財源をどう調達するのかがはっきりしないうえに、会見の言葉に含まれていた「まやかし」が、子育て世代には見抜かれていたようだ。都内在住で3人の息子を育てる40代男性Aさんはこう話す。
「会見で岸田さんは『第3子の児童手当は月額3万円に倍増』とか『3人の子供がいる家庭の児童手当は最大1100万円になる』とか景気のいいことを言っていましたが、すぐにおかしいとわかりました。“あ、これは3番目の子供でも『第3子』として扱ってもらえないやつだろうな”って。
今の児童手当でも第3子が『3歳~小学生』の9年間は増額(月額1万円→月額1万5000円)があります。でも、この増額はいちばん上の子が高校を卒業したタイミングで消滅するんです。第1子である長男が高校を卒業すると、次男は『第2子→第1子』に、三男は『第3子→第2子』に扱いが変わって、児童手当の増額は消滅するんです。うちは長男、次男、三男がちょうど4歳違いで、今春に長男が高校を卒業したため、まだ三男は小学5年生ですが児童手当の増額がなくなりました。“拡充する”と言いながら、こういうトリックがあるんだろうな、というのが見え見えですよ」