何人が恩恵を受けるのかは「把握していない」
岸田首相は会見で「第3子の児童手当を月額3万円に倍増する」と胸を張ってみせたが、「第3子」が現行制度のままの定義なら、月額3万円が受け取れる期間は限られるということだ。別掲図はAさんの家庭のように第1子~第3子がそれぞれ4歳差のケースで「拡充」後の児童手当の額がどうなるかを示したものだ。「第3子」も小学5年以降の児童手当は「第2子」扱いとなって月額1万円となる。小学5年以降の期間が受験などで子育てにお金のかかるタイミングであることは言うまでもないだろう。
会見で岸田首相は「3人の子供がいる家庭の児童手当が最大で総額1100万円になる」とも言及しているが、総額が最大の約1100万円になるのは、「第3子が高校を卒業するまでの18年間、ずっと増額された月額3万円の児童手当を受け取れるケース」だ。第1子と第3子の高校卒業が同時になる「3つ子」など、ごく稀なケースに限られてしまう。
さすがに、総理大臣が目玉政策として大見得を切ったのだから、「異次元の少子化対策」にあたっては「第3子」の定義を変えるということなのだろうか?
こども家庭庁・成育局児童手当管理室の担当者に聞いたところ、まずは現行制度についてこう説明する。
「現状、『第3子』の数え方につきましては、児童手当法のなかで置かれた『児童』の定義に則しています。同法では『児童』というのは18歳を迎えた後の最初の年度末までになるということで、いわゆる高校卒業までと同じような期間となっています」