続発するトラブルに多くの人が不安を抱いているマイナンバーカード(マイナカード)。他人の「健康保険証」情報とひもづけ、コンビニでの「各種証明書」の誤交付、他人の「年金情報」が表示など、毎日のように新たなトラブルが報じられている。個人情報の“誤登録”は他人事ではなく、いつ自分が情報流出の“被害者”になるかわからない。自分を守れるのは、自分だけだ。
経済ジャーナリストの荻原博子さんが言う。
「政府は『個人情報の中央集権化』を狙っています。法案も次々と整備され、マイナポータルですべての個人情報が引き出せるような流れは防ぎようがなくなっています」
だが、個人情報の一極集中化にはリスクもある。
「1つの暗証番号での管理は、アメリカや韓国、シンガポールでも行われていますが、犯罪につながることも多い。アメリカでは住所や生年月日はもちろん、年金や病歴、家族構成など、ほぼすべての情報が閲覧できてしまう点が悪用され、他人になりすまして預金口座やクレジットカードを作られる被害が多数報告されています。口座が高額で取引され、犯罪組織などに利用される恐れがあるのです。
日本でも、情報が漏洩したら、知らないうちに不動産の名義を変えられたり、住宅ローンを組まれたりなど、広範囲のなりすまし犯罪に巻き込まれる可能性があります」
過去の診療情報が漏れることの危険性もある。
「病歴の情報は高く売れる。たとえば、がんの人には高額な健康食品を売りつけるといった“情報の利用価値”があるからです」