投資情報会社・フィスコが、株式市場の6月19日~6月23日の動きを振り返りつつ、6月26日~6月30日の相場見通しを解説する。
* * *
先週の日経平均は924.54円安の32781.54円で終え、11週ぶりに反落。高値圏からの利益確定売りで週初は下落も、為替の円安進行や米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の商社株への追加投資が投資家心理を下支え、その後、週半ばまでは底堅く推移。一方、週後半は大幅に下落。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が議会証言で追加利上げを再強調したほか、その他の各国中央銀行が相次いでインフレ抑制のための利上げに積極的な姿勢を見せたことが世界景気の腰折れリスクを強めた。また、国内要因も含む今月末および来月上旬にかけての需給悪化を警戒した先回り的な売りが加速したことも影響し、日経平均は週後半の2日間で計793.6円も下落した。
今週の東京株式市場は軟調か。バブル崩壊後の最高値圏での好調推移が続いていた日経平均は先週末に急落し、6月13日以来となる33000円割れとなっている。月末にかけては四半期末に向けた年金基金のリバランス(資産配分の調整)目的の売りが強まると想定されている。3月末比で日本株の上昇率は世界株と比べても突出しており、今回のリバランス売りの規模はこれまでに比して大きいと推察される。その先の7月に入ってからも、決算を迎える 上場投資信託(ETF)運用会社による分配金捻出のための換金売り需要が7、10日に現物・先物の合計で1兆1000億円超発生すると予想されている。このため、今週以降は安易な押し目買いを避けるべき局面となろう。
一方、今月末および来月上旬の需給イベントを通過すれば再び日本株の強さが復活するとの期待もある。しかし、英イングランド銀行やノルウェー中央銀行が0.5ポイントの大幅利上げに踏み切ったほか、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内2回の追加利上げを示唆している。主要各国中銀による金融引き締めの長期化が世界景気のハードランディング(株価や金利などの急激な悪化を伴いながら景気が失速すること)を引き起こしかねないとの懸念が強まりつつあるなか、世界の景気敏感株とも称される日本株が無傷でいられるとは考えにくい。
日本と主要各国の金融政策の方向性の違いから、為替の円安に拍車がかかっているが、先週末は円安が大きく進行するなかでも日経平均は急落した。1ドル=145円台が近づくタイミングでは当局による為替介入が意識されてくるため、円安の進行余地は限られると推察され、素直に円安=日本株買いの構図につながっていないとも考えられる。むしろ、これ以上の円安は輸入インフレの再燃を通じて実質賃金のマイナスの長期化、ひいては国内景気の失速にもつながりかねないため、プラスには捉えにくい。