「もう歳だから…」と諦めてはいけない
少し乱暴な言い方ですが、お金を使うと、人は元気になります。高齢者も例外ではありません。意欲をもって積極的に行動する、何かを面白がって前向きに楽しもうとすることで、心とからだの老化のスピードが抑えられます。
高齢になったら、もっと自分らしく好きに生きる。これこそ高齢者が長く元気でいるためのシンプルな秘訣です。わがままなくらいでちょうどいいと思ってください。日本社会にとっては、元気な高齢者がお金を使うことで、経済が活性化するばかりか、医療費や介護費が必要になる時期を遅らせることにつながります。
それには現在、高齢期を迎えている人や、これから高齢期を迎える人が、自分たちの力を信じて、それをしっかり世の中に投影していくことも必要です。
高齢者と日本社会が今後も幸福であり続けるためには、高齢者を「すでにリタイアして、社会から降りた人」として扱う考え方や、世の中の仕組みを変革しなくてはいけません。まずは高齢者自身の意識が変わっていくことも大切です。
元気で自立し、消費者としても大きな存在となっているのが、今の高齢層です。一昔前なら「老人」と言われていた年齢層の人たちも、今は健康面でも経済力でも、30~50代にひけをとるものではありません。
この元気で活動的な高齢層を、近年話題となった作品のタイトルになぞらえ、「シン・老人」と名づけたいと思います。世界中のどの国も経験していない長寿社会を、旧来の常識や価値観に縛られて生きていては、幸福に暮らすことはできません。人生100年時代の主役となるのは、旧来型の老人とは違う、シン・老人たちです。