キャリア

日本の高齢者は相応のお金を蓄えている“最強の世代” 「シン・老人」が人生100年時代の主役となる

高齢者専門の精神科医として30年にわたり、6000人以上を診察してきた和田秀樹氏

高齢者専門の精神科医として30年にわたり、6000人以上を診察してきた和田秀樹氏

「もう歳だから…」と諦めてはいけない

 少し乱暴な言い方ですが、お金を使うと、人は元気になります。高齢者も例外ではありません。意欲をもって積極的に行動する、何かを面白がって前向きに楽しもうとすることで、心とからだの老化のスピードが抑えられます。

 高齢になったら、もっと自分らしく好きに生きる。これこそ高齢者が長く元気でいるためのシンプルな秘訣です。わがままなくらいでちょうどいいと思ってください。日本社会にとっては、元気な高齢者がお金を使うことで、経済が活性化するばかりか、医療費や介護費が必要になる時期を遅らせることにつながります。

 それには現在、高齢期を迎えている人や、これから高齢期を迎える人が、自分たちの力を信じて、それをしっかり世の中に投影していくことも必要です。

 高齢者と日本社会が今後も幸福であり続けるためには、高齢者を「すでにリタイアして、社会から降りた人」として扱う考え方や、世の中の仕組みを変革しなくてはいけません。まずは高齢者自身の意識が変わっていくことも大切です。

 元気で自立し、消費者としても大きな存在となっているのが、今の高齢層です。一昔前なら「老人」と言われていた年齢層の人たちも、今は健康面でも経済力でも、30~50代にひけをとるものではありません。

 この元気で活動的な高齢層を、近年話題となった作品のタイトルになぞらえ、「シン・老人」と名づけたいと思います。世界中のどの国も経験していない長寿社会を、旧来の常識や価値観に縛られて生きていては、幸福に暮らすことはできません。人生100年時代の主役となるのは、旧来型の老人とは違う、シン・老人たちです。

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