株バブルの象徴的な存在だった「NTT株」
地価は急激に上がり、そうした土地を持つ企業の株価も「資産株」として値上がりした。
そんな株バブルの象徴的存在が、民営化後、1987年2月に株式公開された「NTT株」だ。マーケットバンク代表の岡山憲史氏が言う。
「NTT株の初値は160万円。数か月後には史上最高値の318万円まで高騰し、多くの個人投資家が大儲けしました」
1989年当時は世界の時価総額ランキングの上位を日本企業が占めていた。
「日本企業は1位から5位を独占し、さらにトップ50社のうち32社が日本企業でした。特に銀行は12行がトップ50入りしています」(平野氏)
日本中の企業が株や土地に投資して利益をあげ、株取引を始める主婦が続出するなど、猫も杓子も「財テク」に熱心な時代だった。当時証券マンだった平野氏はこう振り返る。
「法人営業だった私も、毎晩のように銀座で接待に明け暮れ、夜な夜な高級料亭から高級クラブをはしごしたものです。一晩に数十万円使っても、翌朝には接待相手から数百万円分の注文が届いたりしていました」
庶民の暮らしぶりについても、こう述懐する。
「物価高に不満の声はありましたが、所得も上がっていたので生活苦の悲鳴は現在ほど大きくありませんでした。郵便局の定期貯金の金利は6%もあり、バブルの恩恵は広く国民に行き届いていた感があります」(同前)