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認知症の親が行方不明になった家族の告白、10年以上待ち続ける息子たちの思い

認知症行方不明者は年々、増加しているという(イメージ。写真/AFLO)

認知症行方不明者は年々、増加しているという(イメージ。写真/AFLO)

 認知症による行方不明者が年々増え続けている──そんな深刻なデータを警察庁が明らかにした。両親が、妻が、ある日突然姿を消す……あなたの身にも迫る危機を未然に防ぐためにどうすればいいか、体験者の話とともに考えたい。

 2011年5月、沖縄県に住む安慶名達也さん(55)は、弟からの電話を受けて血の気が引いたという。

「兄貴、母ちゃんがいなくなったぞ」

 認知症を患う安慶名さんの母(当時66)は、同じく認知症の祖母(当時85)と弟との3人暮らしだった。安慶名さんが当時の様子を振り返る。

「建設業の弟は昼間は仕事で、認知症の母と祖母はデイサービスに通っていました。母と祖母の帰宅後は、いつもヘルパーさんが家で夕飯を作ってくれていたんです。その日、1時間ほど残業した弟がヘルパーさんの退勤後に帰宅すると、お袋がいなくなっていました」

 車で15分ほど離れた場所に住んでいた安慶名さんは、行方不明の連絡を受けた後に母の家で弟と落ち合い、すぐに周辺を捜した。

 だが、どこにも母の姿は見当たらなかった。

「警ら中のパトカーがいたので助けを求めました。調書を書くのに時間がかかってヤキモキしましたが、行方不明から数時間以内には警察への通報を済ませることができました」(同前)

 しかし、それから何時間捜しても母は見つからない。安慶名さんは親族や友人、地方公務員だった母の元同僚らの協力を得るなどして、翌日も、その翌日も捜索を続けたが、杳として行方が知れないまま時が過ぎた。

「当時は、人をどう捜せばいいかわからなかった。自治体の広報スピーカーで呼びかけてもらおうにも、個人情報の壁があってできませんでした。身体的特徴を書いたチラシを配ると確度の高い目撃情報がいくつも寄せられましたが、その場所に急いで向かっても、結局足取りが途絶えることの繰り返し。いまだに母は見つかっていませんが、気持ちのうえでは希望を捨てていません」(同前)

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