住まい・不動産

【高齢者が健康的に暮らせる家】バリアフリーの考え方ではない「五感への刺激」を重視する実践例

高齢者施設の設計を多数手がける一級建築士・天野彰氏が解説

高齢者施設の設計を多数手がける一級建築士・天野彰氏が解説

 人生100年時代がすぐそこに迫るなかでも、なるべく長く自宅に住みたいと願う人は多い。そのためのバリアフリー化もひとつの選択肢ではあるが、「ボケない健康な暮らし」を手に入れるためのリフォームの可能性を探る専門家がいる。その取り組みとは──。

 厚生労働省の推計によると、2025年には700万人以上、実に65歳以上の5人に1人が認知症を患う時代がやってくるとされる。

 そのうえ、政府は介護サービス利用料の負担増を検討している。本格的に人生100年時代に突入すれば介護期間が延びて介護費用や施設の入居費がさらにかさむことが想定され、できるだけ長く自宅で過ごし施設の入居期間を短くしたいという願望も生まれる。

 そうしたなか、手すりの設置や段差の解消といった従来のバリアフリーの考え方ではなく、視覚や嗅覚など五感を刺激することで“ボケない家”を作る試みが専門家によって進められている。

 多くの高齢者施設の設計を手がける一級建築士の天野彰氏が語る。

「日本のハウスメーカーの多くは限られた予算や規格に沿うように住宅を設計しているので、住むことで得られるワクワク感や五感への刺激の重要性が考慮されておらず、長く住むと飽きやすい。そういう住宅を、脳に刺激を与えられるような“ボケない家”にリフォームする取り組みを進めています」

 この7月で80歳を迎えるが、意欲的に住まいの設計を続ける天野氏の考え方と実践例を解説する。

アドレナリンが出る

 リフォームを考える際、“ああしたい、こうしたい”という願望や想像が頭を駆け巡り、計画を立てている時点で“頭を使う作業”になるという。

 天野氏は戦国武将の築城になぞらえ、こう語る。

「戦国時代、武将らは築城を己の最大のエネルギー源として“普請道楽”を究めました。現代の家づくりもスケールは異なるものの戦国時代と同様に“アドレナリンが出る取り組み”になるのだろうと考えます」

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