投資情報会社・フィスコが、株式市場の6月26日~6月30日の動きを振り返りつつ、7月3日~7月7日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は407.5円高の円で終え、反発。四半期末に伴う年金基金のリバランス(資産配分の調整)目的の売りで需給の悪化が意識されるなか、週前半は下落が続き、日経平均は27日まで4日続落。一方、国内の半導体業界再編を巡る思惑で関連株の物色が活発化し、全体を下支えした。また、米経済指標が軒並み予想を上回り景気後退懸念が緩和したことや為替の円安進行が支援材料となるなか、週半ば28日には後場から急速に買い戻しが入り、日経平均は33000円を回復。さらに、欧州中央銀行(ECB)フォーラムにて欧米中銀の総裁らが追加利上げを主張したのに対し、日本銀行の植田和男総裁は金融緩和の継続を主張し、政策の方向性の違いが意識されるなか、一段の円安が週末まで株価をサポートした。
今週の東京株式市場は上値の重い展開か。四半期末に伴う持ち高調整の売りは一巡したが、決算を迎える上場投資信託(ETF)運用会社による分配金捻出のための換金売り需要が7月7、10日に現物・先物の合計で1兆1000~3000億円超発生すると予想されている。これが目先は需給面での重荷として意識される。
また、東京証券取引所が公表する裁定取引に係る現物ポジションによると、23日時点の裁定残高はネットベースで1兆4391.52億円の買い越しとなり、直近4年間における最高水準を記録。裁定買い残の解消売り圧力が一段と高まっており、これも需給面での重荷となろう。さらに、23日時点での市場全体の信用取引残高(東京・名古屋2市場、制度・一般合計)は買い残が前週比2212億円増の3兆4688億円と5週連続で増加し、2021年12月以来の高水準となった。日米ともに株高基調が一服していることもあり、今後は個人投資家の利益確定売りも重荷として働いてきそうだ。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は少なくとも年内2回の追加利上げを再三にわたって主張しており、先週の米経済指標の上振れも相まって、さすがに市場も2回目の追加利上げを織り込みはじめた。米10年債利回りは29日、3.84%と3月上旬以来の高値を記録している。こうした中、今週は週末に米雇用統計が発表される。強い結果となった場合、米金利が一段と上昇する可能性があるため、週末まで様子見ムードが株式の上値を抑えやすいだろう。
ほか、米供給管理協会(ISM)の製造業景気指数(3日)および非製造業景気指数(6日)、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6月開催分)(5日)など注目材料が多い。欧米の6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)はともに市場予想を大きく下回り、景況感の拡大・縮小の境界値である50を大幅に割れている。ISM製造業景気指数が下振れた場合、今後の企業業績の悪化を示唆するものとして素直に嫌気されそうだ。