「自分たちが受取人になっていないため、相続税申告に関係ないと考えていました。しかし、税理士に相談してみると、その保険金も相続税申告に含めなければならないと言われました。結果として、叔母の配偶者と子どもに受け取ってもらうことになり、ともに相続税申告をすることとなったのです」(Aさん)
法定相続人以外が受け取った生命保険金は、相続財産として加算されることとなるため、相続税申告後に保険証券などを見つけた場合は、修正申告をしなければならない。相続税申告のやり直しを避けるためにも、生命保険契約照会制度を活用して、どのような保険契約があるのかをあらかじめ確認しておくことが大切だ。
生命保険契約照会制度とは、一般社団法人生命保険協会が提供している制度で、日本国内で営業しているすべての生命保険会社に対して保険契約の照会ができる。ただし、財形保険契約や財形年金保険契約などの一部の保険は、調査対象外となっているので注意したい。
100万円以上の生命保険金が支払われると、生命保険会社から所轄の税務署へ支払調書が発行される。支払調書には、保険契約者や受取人の氏名、保険金額が記載されているので、この内容と相続税申告の金額に相違があれば税務調査を受けるリスクが高まる。税務調査で指摘を受けると、無申告加算税や延滞税などのペナルティによって納税額が増えてしまうので注意が必要だ。
【2】タンス現金が見つかった
相続税申告は、相続発生日(被相続人の死亡を知った日)から10か月以内に申告・納税までを済まさなければならない。一方で、この期間中に、被相続人の遺品をすべて整理するのが間に合わないこともあるだろう。そうして、相続税申告が完了してからも遺品整理を進めていった結果、タンス預金を見つけてしまうことも考えられる。
銀行預金や保険金などのように金銭の移動がないため、「タンス預金は税務署にバレない」と考える人もいるかもしれないが、税務署は金融機関の預金残高や取引履歴を確認することができるため、不自然な取引があると「タンス現金があるのではないか」と疑われることになる。