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「200万円アップ」も納得?トヨタ・アルファード、8年ぶりフルモデルチェンジで“豪華志向”が鮮明に 一方で「入手困難」の悲鳴も

 今回の新型は8年ぶりに全面改良を施し、ガソリン車とハイブリッド車(以下、HEV)のフルモデルチェンジによって大変身しました。フルサイズミニバン、アルファード、そして兄弟車「ヴェルファイア」は、まさに待望の1台として話題となっているわけです。そこで今回は、発表されてばかりでまだ試乗は叶いませんが、新型の魅力を確認したいと思います。

購入資金だけではない大きなハードル

「トヨタの最高級ミニバン」というポジションにあるだけに、まだ試乗前ですが、振動・騒音対策、燃費や走りといった基本性能はより向上しているはずです。その上で消費税込みの価格が540万円~(ガソリン車の2WD)、という形で発表されました。先代モデルのベーシックなモデルが320万円ほどだったことを考えると、単純な価格の比較ですが200万円以上のアップした事になるのです。その理由の一端は発表会場で明らかになった解説資料を見れば少し理解できます。

「大切なご家族とのご移動や大事なお客様の送迎などのシーンで、運転する方も、後席にお乗りになる方も、乗る人全てが相手を思いやり感謝し合える空間を実現するため、『快適な移動の幸せ』を極めることをコンセプト」となっていました。つまり家族はもちろんのこと、運転手がドライブする「ショーファードリブン」としての役割が、これまで以上に強くなったことを表明したことで、価格上昇に対するひとつの答えを用意したのだと思います。確かに先代以上に存在感が強いフロントマスクは押し出し感も強く、一目で豪華志向が明確です。また兄弟車である「ヴェルファイア」は、さらにスポーツ指向の強いデザインで“アルファードよりも少し高額なモデル”という棲み分けも行った上でポジションを明確にしています。

中央にセンターコンソールを設置し、高級サルーンのような佇まいの前席とインパネ周辺

中央にセンターコンソールを設置し、高級サルーンのような佇まいの前席とインパネ周辺

 新型のハイライトとも言えるインテリアの質感は先代を軽く凌いでいます。より上質に、そしてより広くなっていて、1列目と2列目のシートは、ゆったり感が相当に向上していることは見ただけでも理解できます。その上で、最新のハイブリッドシステムは250馬力と、こちらも大幅にアップ。ゆとりある走りと運転のしやすさ、そして高められたボディ剛性によって乗り心地や静粛性も向上していることは想像に難くありません。その内容を見れば「200万円アップなら十分に納得」というものかもしれません。

 この価格でも、ブランドに対する信用度の高さもあって、人気は過熱気味。すでに東京地区のディーラーでは、受付をひとまず終了しているという話まで耳にしました。他の都道府県でも「抽選を前提にした販売」があるとか。その人気のすさまじさが伝わってきますが、こうした状況が起きるのは、いまも続いているサプライチェーンの問題もあります。多少は状況が良くなったとは言え、製造業ではまだまだ苦しんでいるのです。

 このような状況ですから、リーズナブル(アルファードを購入できるユーザーにとって)な価格のモデルを出したら、さらに供給に遅れが出るでしょう。結果としてメーカーは「早く納車したくても用意できない」し、ユーザーは「買いたくても物がないから待つしかない」という事になってしまいます。そうした事情を考えれば新型は、ただ単に200万円アップという価格を設定したのではないはずです。

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