マンション価格の高騰は、都心部から地方へと波及していくのか――。不動産経済研究所が3月18日に発表した3月の首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の新築マンション1戸あたりの平均発売価格は1億4360万円となり、単月で初めて1億円を突破。異様な高騰に見えるが、購買需要は旺盛で今後も上昇が続くと見られている。また不動産業界では、東京都港区の超高級マンション「三田ガーデンヒルズ」の第1期販売が始まったことも大きな話題となった。
地上14階・地下2階建てで、総戸数1002戸の「三田ガーデンヒルズ」。第1期販売の約400戸は、平均価格4億円台という金額ながらすぐに完売したという。20階以上まであるタワーマンションというわけではないが、この三田ガーデンヒルズのように建物周辺の緑地整備が行き届いた物件の人気が高まっており、一部では富裕層の「タワマン離れ」も叫ばれている。
だが、地方に目を転じると今まさに「タワマンブーム」が到来しているという。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が解説する。
「20年ほど前に山形県酒田市に田んぼの真ん中にタワマンが建設されて話題になりましたが、最近では山形市内の市役所に近いエリアにもタワマンができています。たしかにこれまでタワマンを購入していた一部の富裕層の興味が低層階の高級マンションに移っている傾向はありますが、都内でもまだまだ“タワマン信仰”は強い。デペロッパーにとっては“建てれば売れる”状況なので、建てる場所がある地方都市にも行くわけです。
行政側としてもタワマンに多くの住民が入れば地方税も入るし、固定資産税などの税収も増えます。多くはメジャーな中核駅の駅前などに立地しますから、商業施設などが入ることで再開発にもつながるメリットもある」