「免許返納」した高齢富裕層もターゲット
榊氏が指摘するように、今、地方ではタワマンの販売が旺盛で建設ラッシュが起きている。人口約25万人の山形市では2021年に市役所に近い中心部に20階建てのタワーマンションが2棟完成した。その他にも、香川県や富山県、鳥取県など、決して人口が多くはない都市でもタワマンが誕生している。
地価が高騰する都心に比べ広い戸建てを所有しやすい地方で、なぜ「タワマン」が求められているのか。不動産事業「レーベン」ブランドのマンション事業を行なうMIRARTHホールディングスのグループ広報部広報課はこう明かす。
「エリアや立地、価格帯によっても需要は様々ですが、地方においては高齢化が進むエリアも多く、運転免許の返納後の生活を考え、平地で利便性の高いマンションを検討する方や雪かきの苦労から解放される雪害対策の行き届いたマンションなどを求める方もいらっしゃいます。近年は集中豪雨による水害などの災害不安から、戸建てに比べ防災能力の高いマンションを求められるケースもございます」
とはいえ、タワマンの価格は周辺にあるマンション群と比較して2倍近くになっているケースも少なくない。具体的にどんな人が購入しているのか。榊氏はこうみる。
「円安による建築資材高騰などの影響で建築費の坪単価は150万円から200万円。そうすると新築物件なら地方でも1戸6000万円くらいはします。購入しているのは地元の資産家や開業医が多いです。
資産家の場合、自分用に購入するケースもありますが、それとは別に子供たちを住ませたいという需要があるんですよ。不動産屋に行くと、“駅近ですよ”“新幹線の駅が近いから値下がりしませんよ”なんて言われるし、相続税対策にもなる。開業医にも購入者が多いのは、東京志向が強く、仕事で東京の学会に行く頻度が多いからだと聞きます。そうすると新幹線の駅近にセカンドハウスがあれば便利だという話になるわけです」