全国に約6万軒あるといわれる「スナック」。かつては中高年男性が通う場所、というイメージもあったが、最近は、女性客も増えているという。そんななか、昼間は別業種を営む女性2人がコロナ禍中にスナック業界に飛び込んできた。これまでにない考え方やシステムで人気店に押し上げた、ニューウェーブ・ママに話を聞いた。
人と人をつなげる場を
東京・赤坂見附にある『スナックひきだし』の開店は2020年10月のコロナ禍中だった。それにもかかわらず、店はすぐに話題になり、有給休暇をとってでも来てくれる客が増えたという。その魅力はオーナーママである紫乃さんの話術はもちろん、25人ものママ&マスターが日替わりでカウンターに立つ“週1・月1ママ&マスター”というシステムにもある。
営業時間はその日のママやマスターの都合のよい時間のため、毎日異なる。そのため、夜は行けないという主婦も昼からスナックで楽しめるのがうれしい。
「そもそも私は、キャリアアドバイザーの仕事をしているのですが、その過程で“コロナ禍中のいまこそ、皆がつながりを求めている”と確信したんです。それで、人と人とをつなげる場所を作ろうと、52才で店をオープンしたんです」(紫乃さん・以下同)
スナックでは、社会的立場に関係なく、皆が誰にも話せない悩みを打ち明けてくれる。紫乃さんはそれを聞くのだという。
「“私もママ・マスターを試しにやってみたい”という人たちも出てきて、そういう人に場所を提供することで、さらにさまざまな人同士がつなげられる、新たな働く機会を提供できると考えました」
スナック業界の働き方改革、といえるかもしれない。
【住所】東京都港区赤坂3-9-4赤坂扇やビル5F
※詳細はホームページ(https://hikidashi.co.jp/snack-hikidashi)。紫乃さんの出勤日は毎週木曜日14~18時。セット料金3000円~。