年初の日経平均株価が2万5000円台だったことを考えると驚異的なハイペースの高騰だが、株価は一体、どこまで上がるのか──。
〈「日経平均8万円、外国人は納得」シンガポール助言会社〉
6月28日、日本経済新聞(電子版)にこんな見出しが躍った。在シンガポールの投資顧問会社で社長を務める藤原徹一氏が同紙のインタビューに答え、日経平均株価は2030年をターゲットにした場合、8万円台まで上昇しても不思議ではないと言及したのだ。
今年3月から日経平均は上昇を続け、5月中旬に3万円台に突入。7月3日には終値が3万3753円とバブル期の1990年3月以来の高値となった。
もし、藤原氏が指摘するように、バブル時に記録した史上最高値の3万8915円の2倍を超える「日経平均8万円」が実現するのであれば、現在の株価の実に2.5倍にふくれ上がる計算だ。
7年後、本当にそんな未来が訪れるのか──にわかには信じがたいが、少なからぬ投資のプロたちがこの意見に賛同しているという。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が語る。
「現在の日経平均の上昇幅を考えると、節目の3万5000円を超えれば、史上最高値の更新が視野に入る。そうなれば年内に4万円を超えても不思議ではない。もっと長期的には、かつてない上昇があるかもしれません」
専門家が強気の見方をするのには理由がある。鍵を握るのは日本企業のPBR(株価純資産倍率)の改善である。
PBRは、時価総額を純資産で割ることで算出される“株価が割高か割安か”を判断する指標だ。その数値が低いほど、株価は割安と評価される。
今年3月には東証が「PBR1倍割れ」の企業に対し、経営陣による市場価値を引き上げる努力が不十分だとして異例の「改善要請」を出した。
現在、各国のPBRは、米国のS&P500種株価指数で4倍超、欧州は2倍前後が多い。対して日経平均構成銘柄は1.3倍台にとどまる。前述した藤原氏の見解を大まかにまとめれば、仮に2030年までに日本株のROE(注:自己資本利益率。自己資本に対して企業がどれだけ利益を上げたかを示す数値)が12~13%まで成長し純資産が増えたうえで、PBRが平均2倍程度まで上昇すれば、日経平均は8万円台に達する計算になるというものだ。