もちろん犯罪者や不法移民は門前払いにしなければならないが、どこの国の人間であっても、母国の義務教育を終了していれば、無条件で受け入れるべきだと思う。最近は日本人の凶悪犯罪が頻発しているし、日本人がフィリピンやベトナムなどからネットを使った犯罪も行なっている。今や「日本人は安全・安心」という前提は崩壊しているのだから、外国人を選り好みするのは理屈が通らない。
国力は人口で決まり、日本が国力を維持するためには移民が不可欠だ。四の五の言わずに、とにかく国を挙げて移民をどんどん受け入れ、無償で国民化教育をして定住させなければ、日本は確実に没落するのだ。
私はこうした提言を30年前から繰り返しているが、いまだに政府は特定技能などの高いハードルを設けている。移民政策についても、岸田首相お得意の“異次元”でやっていただきたい。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『世界の潮流2023~24』(プレジデント社刊)など著書多数。
※週刊ポスト2023年7月21・28日号