2024年に新NISA(少額投資非課税制度)がスタートする。従来の一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAはすべて2023年で終了する。それらの口座で運用する金融商品は新NISA口座に移すことができないため、売却するか、保有し続けるか、独自に投資戦略を立てる必要がある。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第50回は、「NISAの出口戦略」について。
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新NISAスタートまで半年を切りました。従来の一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAはすべて2023年で終了し、その後は追加投資できません。また、2024年からの新NISAは新しい制度としてスタートしますので、従来のNISA口座で保有している商品を新NISA口座へ移すことはできません。となると、従来のNISAで保有している金融商品はどうすればよいのでしょう?
一般NISAは「利益確定も視野に」
2014年から始まった一般NISAは、非課税期間が5年で、その後ロールオーバーすれば最長10年非課税で運用できました。しかし2023年度で終了するため、2019年以降、一般NISA枠で買い付けたものはロールオーバーできません。順次、5年の非課税期間が終了次第、何もしなければ自動的に課税口座へ移管されます。
NISA口座で損失が出た場合、課税口座と損益通算できません。なおかつ、課税口座に移管された価格が、取得価格とみなされますので、実際には損失が出ているのに、税金を払わなくてはいけない場合があります。
たとえば、元本120万円で購入した株が、非課税期間終了時に80万円になっていた場合、そのまま課税口座に移管されます。課税口座では80万円で取得したことになりますので、その後100万円で売却した場合、20万円の利益とみなされ、ざっくり20%課税され4万円納税しなくてはいけません。実際には120万円で買って100万円で売っているので、20万円損をしています。それなのに税金を払わなくてはいけないという、なんとも歯がゆい事態に。そのためNISA口座ではなんとしても利益を出したいところです。
世界株式など幅広く分散投資をするインデックス投信を長期で保有していれば、マイナスになるリスクをかなり減らすことができます。しかし5年となるとタイミングによっては、マイナスになってしまうことも十分考えられます。
一般NISAで保有している商品は、ある程度利が乗ったところで、利益確定する潔さが必要です。売却したお金を新NISA口座に回しましょう。