「取れるところからはキチンと取る」路線に舵を
そう考えると、日本にやって来る外国人旅行客はそもそもお金持ちなんだから、「ジャパン・レール・パス」など使わずとも、余裕でこの国を旅できるのでは? このパスを使えば、JR各社の鉄道と路線バスが乗り降り自由になります。東海道新幹線の「のぞみ」と山陽・九州新幹線の「みずほ」は乗れませんが、「ひかり」に乗れれば十分ですし、その他新幹線と特急でも使える。さらに10月からは追加料金を払うと「のぞみ」「みずほ」にも乗れるようになります。現時点での価格(海外のJR指定販売店・代理店で購入の場合のおとな料金)を見てみましょう。
【普通車】
7日間:2万9650円(1日平均4235円)
14日間:4万7250円(同3375円)
21日間:6万450円(同2878円)
【グリーン車】
7日間:3万6900円(同5271円)
14日間:6万4120円(同4387円)
21日間:8万3390円(同3970円)
こちとら、東京→新大阪の普通車に乗る時、自由席正規料金の1万3870円を高いと感じ、チケット屋で数百円安い券を入手することもあるわけですよ。サラリーマンのランチにしても「1000円を超えるのがキツいから、週に1回はコンビニおにぎりとカップラーメン」なんて言う人もいます。毎日400~500円の牛丼や立ち食いそばという方もいるでしょう。
もはや日本は「衰退途上国」で、給料も上がらない国。コロナで鉄道利用が激減し、JR各社も経営状態が大きく悪化したわけで、少しでも収入を増やさなければならない。ジャパン・レール・パスの値上げという手段を講じるのもいいですが、いっそのこと、外国人観光客からも正規料金を取っていいのでは。
発展途上国へ行くと博物館や寺院等で外国人の入場料は自国民よりも高いことが多いです。それなのに衰退途上国の日本は逆のことをジャパン・レール・パスでやっている。OECD(経済協力開発機構)が公表する世界の平均賃金データによると、2021年の日本の平均年収は433万円です。これはOECD加盟35ヶ国の中で22位。また、厚生労働省『国民生活基礎調査』で公表された2021年の相対的貧困率は15.4%。これは先進国最悪の水準です。