動物由来の原料を一切使わずに本物の“鰻の蒲焼”の食感、見た目、風味を限りなく再現した「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」が商品化され話題沸騰中だ。絶滅危惧種ニホンウナギの稚魚・シラスウナギの漁獲量激減で高騰する鰻の代替としての期待も集まっている。
「謎うなぎ」を4年かけて開発したのは、カップヌードルの具材で有名な“謎肉”などかやくを手がける部署。開発チームを率いた日清食品グループグローバルイノベーション研究センター食品開発部次長の中山貴照氏が説明する。
「粒状大豆たんぱくでふわっとしながらも繊維感のある食感を再現した『白身層』、植物油脂などで鰻の身と皮の間にある脂身のとろっとした食感を出した『中間層』、大豆たんぱくと竹炭で皮の質感と色を実現した『皮層』の3層構造が肝です。本物の鰻の蒲焼から金型を作り、3層の生地を詰めて蒸し、たれを塗り、直火で炙ることで本物に近づけました」
グルメリポーターとして活躍する彦摩呂氏が「プラントベースうなぎ」を試食。重箱の蓋を開けた瞬間から、驚きの声を連発した。
「鰻そのものや~。見た目、鰻を蒸したような柔らかでふかふかの食感、たれと焦げ目が醸し出す香ばしさといい、全部そのまま。箸を入れた時のもっちり感、皮がはがれる感じまでリアルに再現していますね。植物ベースの代替鰻とは信じられへん! 噛んだ時のねっとり感も脂がのっている感じが見事です」
こだわりは食感、見た目だけではない。
「たとえば白身層の味付けは、鰻を蒲焼にする前段階の白焼きの味を構成している成分を分析し、特徴的なものを織り込むことで再現しています」(中山氏)
【プロフィール】
彦摩呂(ひこまろ)/1966年生まれ、大阪府出身。タレント。グルメリポーターとして情報番組などテレビを中心に活躍。
取材・文/上田千春
※週刊ポスト2023年8月4日号