だから自分が議員になって自分の失敗が直に自分に返ってくるようになったときは逆にうれしかったですね。
それともうひとつ、いまの役割をいただいてうれしいのは、専業主婦のキャリアが仕事に生かせること。
実はいま、国会議員713人(国会議員の定数は、衆議院465人、参議院248人)の中で専業主婦をしてきたのは私だけなんです。専業主婦は社会とつながっていない、なんて言う人もいますが、私たちには夫に見えていない社会が見えています。主婦ほど世の中が見えている職業はないと思っています。なんせ、子育てをする親にやさしくない制度については、実際に体験して具体的な問題点を知っていますから。専業主婦時代に感じた政治に対する疑問や怒りを、いま、文部科学大臣という立場で話せることがうれしいんです。
若い頃は“専業主婦の私には自分がない”と悩んだこともありましたが、人生で経験することに無駄はありません。何かしら経験すれば、それが失敗でもいまにつながる糧になります。だから私はいま、専業主婦の皆さんが経験してきたこと、感じたことは社会にとって宝になる原石だと思っています。
【プロフィール】
永岡桂子(ながおか・けいこ)/1953年東京・渋谷区生まれ。24才で結婚し、51才まで専業主婦。2005年、衆議院議員だった夫・洋治さんが急逝したため、茨城7区から衆議院議員総選挙に出馬し初当選。以後「おかあさんの底力」をスローガンに6期当選を重ね、昨年、文部科学大臣に就任。
※女性セブン2023年8月3日号