会見後も「影響力」は残る?
6月下旬に特別調査委員会の調査報告書を受け取ってから、会見が開かれるまで約1か月を要したが、白井氏は「完全に遅すぎた会見になったと思います」と指摘する。
「そのあたりは、ビッグモーターが非上場企業であることが背景にあるのかもしれません。非上場なので経営トップが社外取締役から指摘を受けるといった状況もなく、メディアの報道が増えたり内部告発が相次いだりする事態に発展しなければ、会見をせずにやり過ごせるかもしれないと考えていた可能性もあるでしょう。内部告発が続いたり、国土交通省が聴取に乗り出したりしたことで、遅ればせながら会見が開かれたという状況ではないか」
さらに白井氏は、「今回、兼重親子が辞任したが、それでビッグモーターの経営がどこまで変われるのかという疑念もある」と続ける。
「兼重社長の資産管理会社であるビッグアセットが、ビッグモーターの全株式を保有しているわけです。100%の株主ですから、当然ながら経営に大きな影響力を持ちます。このままでは、新しい経営陣への創業家の影響力が完全に残るのではないかと思われるのは自然なことで、そうした構造があるからこそ、会見で『申し訳なかった』という言葉があっても、誰かが書いた台本を読み上げただけのイメージになってしまうわけです」
ビッグモーターが今後、どのように事業を継続していくのか、注視する必要があるのは言うまでもない。(了)