夏でもマスクが外せなくなってしまった
美容整形投稿を見るようになって、自分の顔のパーツが「醜い」と感じるようになった若者は少なくない。都内の私立大学に通う女子学生・Bさん(21歳)は、「マスクが外せなくなった」という。
「インスタの整形投稿を見ていたら、自分の口元が、いわゆる『口ゴボ(くちごぼ)』と呼ばれる形状であることを知りました。お医者さんや整形系のインフルエンサーの方たちが、Eラインの話をよくしていたんです。横からみて鼻先と下顎を結んだ線より唇が少し内側にあるのが美しい顔とされていて、私はそうではなく唇が突出しているタイプ……。
もともと口元はちょっと気になっていたのですが、それがネット上では『口ゴボ』と呼ばれ、一部の人たちのあいだでは“醜形”にあたると知ってしまった。口ゴボは骨を切る大掛かりな整形や長期的な歯列矯正などが必要らしく、私はすぐにできません。最近では、『周りの女子も私のことを口ゴボだと思って見ているんじゃないかな?』と不安になり、怖くてマスクが外せなくなってしまいました……」(Bさん)
夏になり世間ではマスクを外す人も増えている。この状況がさらにBさんの不安を加速させているという。
「最近では夏で周囲がマスクを外すようになっていますが、自分はやはり外したくない気持ちが強いです。それでも、やっぱり整形投稿を見てしまう。YouTubeで検索したりもしますし、もう中毒のようなものです。自分で自分をルッキズムで縛っている気がして苦しいですね」(Bさん)
美しくありたいという思いは、多くの人が抱いている。その一方で、SNSのレコメンド機能やアルゴリズムによって、若者たちが多くの美容整形情報に接するようになった結果、自己肯定感が下がったり、容姿へのコンプレックスが増幅されたりするケースも増えている。こうした部分でも、SNSの功罪が浮き彫りになりつつあるようだ。(了)