一度流出したらもう止まらない。中古車販売大手「ビッグモーター」が、行きすぎた利益追求のため、多岐にわたる不正に手を染めていたことが次々と発覚している。不正を助長したといわれている兼重親子の素顔とは──。
ビッグモーターは、兼重宏行社長(71才)の生まれ故郷である山口県岩国市で1976年に「兼重オートセンター」として創業した。
「小さな事務所でスタートし、資金繰りに奔走していた時期もあったようです。兼重さんは地元の工業高校出身。大学は出ず、自衛隊に入っていた時期もあるようです。生家は自宅近くの川であさりを採って生計を立てていました」(兼重家を知る人物)
事業を軌道に乗せ、息子で同社の副社長を務める宏一氏が生まれた1988年には地元で自宅を新築した。決して豪華と言えるものではなく、町内にもなじんでいたという。そしてそのときの兼重社長もまた、どこにでもいるような中小企業のオーナーだったという。
しかし、そうした印象は、会社が急成長を遂げるにつれて変わっていく。社名を現在の「ビッグモーター」へと変更し、故郷を離れると、六本木ヒルズに本社を置き、都内の超高級住宅街に豪邸を建てる直前まで、都内の超高級タワーマンションに居を構えるようになる。
そして会社に決定的な変化があったのは、息子の宏一氏が実質的に経営を担うようになってからのことだったという。
「宏一氏は早稲田大学出身で、アメリカでMBAを取得してもいます。確か、公認会計士の資格も持っていたはずです。ビッグモーターは学歴不問のため、宏一氏にしてみれば、全社員が格下に見えたのかもしれません。社員に対する態度は目に余るものだったそうです」(自動車業界関係者)
「終始バカにしたような口ぶり」
店長経験もある元社員のSさん(54才)は、宏一氏の印象をこう語る。
「ゴルフばかりしていてLINEのアイコンもゴルフをしている自分の写真でしたね。ゴルフでも仕事でも、年上に対しての物言いは横柄で、終始バカにしたような口ぶりでした。言うこともコロコロ変わり、とても好印象と言えるような人ではなかった」