パチスロには、店側が各台の出玉性能を変更する「設定」という機能が備わっており、“高設定”を入れれば、客側が勝つ可能性が高くなる。店側が高設定を多く入れれば、それだけ客も集まりやすいということだ。
「高設定が入っているかどうかを店側が告知することはできませんが、お客さんがたくさん出していれば、それだけ高設定が入っている可能性が高くなる。そして、“高設定を入れるホール”という印象がつくと、さらに客が集まってくる。
また、人気ホールがひしめき合う“激戦区”には、当然ながら多くのユーザーが集まってきて、そのユーザーを獲得するために、各ホールが高設定を入れてくる。そういった循環があるので、激戦区と呼ばれるような地域にどんどんユーザーが集中してくる傾向があります」(藤井氏)
こうして、人気ホールとそうではないホールとの格差がどんどん広がっていく現実があるのだ。
「昔なら暇つぶしをしたい地元の人だけに向けたホールもたくさんありました。ただ、そういったホールは周囲にライバル店があるわけでもなく、あまり出玉でサービスをするようなことはなかった。
でも、最近はネットでさまざまな情報が溢れていて、勝つために遠征する熱心なユーザーも多く、そういうユーザーを取り込むための施策ができる体力があるホールが生き残っていける。大きなチェーン店であればそういった施策も可能ですが、地元の人を相手にしていた小規模の店舗が、いきなり出玉でサービスするような施策はなかなか難しい。
結果として、ライバル店が少ない小規模なホールは淘汰され、激戦区にある大規模ホールが残っていくという流れになっているわけです。そういう意味でも、ホールの減少傾向は今後も続いていくと思います」(藤井氏)
コロナ禍を乗り越えたパチンコ業界だが、かつてのような盛況を取り戻すのは簡単ではなさそうだ。(了)