中央銀行が行う金融政策は、相場のサイクルに結びついている。では、投資を行ううえで、相場のサイクルをどのように理解すればよいだろうか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第53回は、「相場サイクル」について。
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「中央銀行には逆らうな」、投資の世界でよく使われる格言です。もう少し分解して説明すると、「中央銀行が行う金融政策に沿った投資行動を行いましょう」ということです。経済ニュースで、日銀やFRB(連邦準備制度理事会。アメリカの中央銀行の役割を持つ機関)が行う金融政策について、大きく報道されるのはそのためです。株式相場は、中央銀行の政策と呼応するかたちで、4つのサイクルがぐるぐる回っています。
4つの相場サイクル
中央銀行が行う金融政策で注目すべき点はふたつ。「金融引き締め」と「金融緩和」です。このふたつの政策の状況を見ることで、今が4つの相場サイクルのどの段階かがわかります。
【1】金融相場
景気が悪化してきた場合に、中央銀行が景気を回復させるため金融緩和を行います。金融緩和は、金利を下げてお金を借りやすくすることで、投資や消費にお金を回します。このタイミングでは、景気はまだ回復していませんが、将来の景気回復を先取りして株価は上昇します。
この相場では、全体的に株価は上昇しやすいため、株価指数が上がります。コロナ後に世界中の株価指数が大きく上昇したのは、まさに金融相場だったからです。株式投資をするには、絶好のタイミングと言えます。その中でもとくに狙い目は、成長性が高いIT関連や、新興企業、不動産などです。