少子化の解決策として、育休制度のあり方もたびたび議論される。一方で、育休をとる社員の仕事を肩代わりして、仕事の負担が増える社員も少なくない現実がある。そういった場合、負担が増えた社員の手当を会社に要求することはできるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
会社は国の方針を受け、男性社員の育休を推奨しています。でも、同僚が育休を取ると、どうしても私のような独身社員の仕事量が増えます。育休社員の給料を減額しないようにとの動きもありますが、まずは仕事の負担が増える独身社員の給料等をアップしてほしい。その要望を会社に願い出てもムダですか。
【回答】
育休はそれだけでは、そんなに魅力的な制度ではありません。ノーワークノーペイの原則からしても、働かないと月給をもらえないからです。確かに雇用保険から、出生時に休業した場合、出生時育児休業給付金と、その後1歳未満の乳児を育児するために、育児休業をしたときには、一定の条件の下で育児休業給付金がもらえます。
しかし、育児休業給付金は給料の全額ではなく、最大で67%であり、不足分を支給してくれる気前のよい会社は少ないので、生活はラクではないと思います。また、育休中にキャリアの遅れが気になるなど、心安らかではないかもしれません。
一方、育休を取る人が出ると、通常は残りの人の労働負担が従来に比べて重くなるでしょうから、不満を感じるのも当然です。