まるで人間を相手にしているような自然なやり取りができる生成AI(人工知能)として話題の「ChatGPT」。あらゆる分野の質問にAIからの“答え”が得られることから、様々な応用が期待されているが、「相続の手続き」にも大きな変化が訪れそうだ──。
〈親が現金をたくさん持っています。節税対策は何が効果的でしょうか〉。スマホのLINEでそう質問を入力すると、30秒ほどの間を置いてこんな答えが返ってきた。
〈節税対策についてお尋ねいただきありがとうございます。以下のような方法が考えられます。
1.生前贈与:年間110万円までの贈与は非課税となります。これを利用して少しずつ財産を移すことができます。
2.非課税枠の活用:死亡保険や死亡退職金の非課税枠を活用することもひとつの方法です。
3.税金を繰り延べる:事業承継税制を活用することで、自社株式に係る税金を繰り延べることができます。
ただし、これらの方法は一例であり、具体的な対策は親御さんの具体的な状況によります。そのため弁護士や税理士、公認会計士などに相談されることをお勧めします〉
ここで相続税対策を指南しているのが、昨年11月に米OpenAI社が公開して話題の「ChatGPT」だ。
家族信託サービスを提供するファミトラ(東京都港区)が、「終活相談AI」のサービスを開始したのは6月2日のこと。特設ホームページからQRコードを読み取ると、LINEでChatGPTの技術をベースにした終活相談AIに質問を投げかけ、無料で回答が得られるというサービスだ。
〈親が相続に関して子供たちの意見を全く聞かない〉といった悩みを送信すると、〈そのような状況でお困りのことと、お察しします〉といった気遣いの言葉とともに、〈まずは親御さんとのコミュニケーションを重視することが大切です〉とアドバイスが返ってくる。