その助言は専門的な内容にも及ぶ。〈親が弟に多く相続させようとしている。これを阻止したいです〉という具体的な悩みを書き込むと、〈それは大変な状況ですね〉という言葉に続き、こんな返答が送られてきた。
〈まず親御さんがまだ健在であれば、家族全員で話し合いを持つことをお勧めします。また、遺言がある場合、遺産分割ではその内容を優先的に扱います。しかし、遺言によって法定相続分を侵害する内容の場合、遺留分侵害の主張が可能です〉
遺留分とは、一部の相続人に認められた最低限の権利のこと。たとえば夫が亡くなって妻1人、息子2人が相続人の場合、夫が次男にすべての財産を相続させるという遺言を残していても、長男は遺産の8分の1を遺留分として主張できる。AIが答えているのだが、知っておくべき制度が具体的に出てくる。「遺留分とは何?」と重ねて問えば、さらに具体的な説明が返ってくるのだ。
税理士より賢くなる!?
サービスを提供するファミトラ広報部に立ち上げに至る経緯を聞いた。
「弊社は家族信託という制度を使って老後の不安、特にお金関連の不安の解消を目指しています。その事業を進めるなかで、老後に漠然とした不安を持つ方が多いとわかり、そこに寄り添うスタンスを取りたいと考えました。資産や身の回りの整理、病気やケガの対策など、誰に相談すればいいかわからないことを気軽に聞いてもらいたいです」
終活相談AIに質問を投げかけると、末尾に〈家族信託について考えているなら、専門家に相談することをお勧めします。その際はファミトラLINE公式アカウントが役立つかもしれません〉といった文言が添えられることもあるが、必ずしも家族信託サービスへの誘導が目的ではないという。
「家族信託がすべての方の解決策になるわけではないので、それぞれの知りたい答えや適切な相談先を示せるものにしたいと考えています」(同前)