中高年でもLINEの普及率は高い。ChatGPTと同社が蓄積したデータから導かれた答えが、LINEで得られる手軽さが重要だという。
「皆さん井戸端会議などで様々な話題を口にすると思いますが、具体的な資産内容に話が及ぶと、友人でも相談しにくい。それがAIなら気軽に質問を投げて、すぐに返信が受け取れます。まだAIがデータを学習中の部分もありますが、前向きに終活の話ができる社会になる一助になればと考えています」(同前)
悩みの内容に応じて、詳しい相談の相手は弁護士がいいのか、税理士か、といったことも示される。
ちなみに〈税理士を紹介してください〉と入力するとこんな返信になる。
〈申し訳ありませんが、私はAIであり、具体的な税理士の紹介はできません。しかし、相続税の申告や遺産分割の提案などを得意とする税理士を探す際には、信頼できる紹介サイトや地元の税理士会などを利用するとよいでしょう〉
こうした新サービスを専門家はどう評価するのか。相続関連の著書が多い税理士法人レディングの木下勇人税理士・公認会計士に聞くと、「まずは使ってみるといいと思います」と話す。
「興味があるので私もよくChatGPTをいじりますが、“このままAIが学び続けると、最終的には税理士より賢くなってしまうかもしれない”と感じることもあります。
ただ、現時点ではまだ、的確な答えを導き出すには質問する側に知識がないと難しいと思います。また、相続の悩みには税金を安くする以外に、人間同士の感情の問題も関わってくるので、AIではカバーしきれないところもあるでしょう。それでも、問題の入り口部分でその悩みを誰にどう相談すればいいか、といった仕分けの役割は十分に果たせるのではないか」
※週刊ポスト2023年8月11日号