あんな大工事は見たことがない
兼重家には都心の豪邸のみならず、軽井沢に建設中の別荘と、熱海にも別荘がある。
駅から車で5分ほどの熱海の別荘地には、オーシャンビューの地上2階、地下1階のまだ新しいモダンな建物があった。だが、そこでも兼重家と周辺の間には大きな“壁”があったようだ。近隣住民が語る。
「挨拶をしたこともされたこともないから、ビッグモーターの社長さんの別荘だってことはメディアの人が取材に来て初めて知りました。リュックを背負ってTシャツにパンツみたいなラフな服装をした30代ぐらいの男性が1人で別荘に来ているのを見かけたことは何度かあります。あとは庭を手入れするために植木屋さんはよく来ていますね」
近隣に古くから住んでいるという男性は、こう振り返る。
「5年ほど前に住宅会社の人が『ここに新しく家を造ります』と知らせにきたので誰の家が建つのか聞いたらビッグモーターの社長だって言ってました。その時は『1年半で完成する』と聞いていたのに3年近くかかって2021年の後半に完成していましたよ。確か別荘を建てたところが、崖崩れで地盤がゆるゆるになってるから危ないと言われていたみたいで、最初の1年間はずっと基礎工事。すごい量の棒を地中に埋め込んで地盤を固めていました。あんな大工事は見たことがなかったね。
何台ものトラックがうちの前を通るもんだから、工事が終わる頃には側溝のコンクリートがいくつも割れちゃって、陥没したり、道も途中までぐちゃぐちゃになっちゃった。でも住宅会社が『全部きちんと直しますので』と舗装してくれました。ただ、その時も別荘の持ち主が謝りにくるようなことはなく、挨拶にもまず来たことがなかったからね。
別荘の裏側にも出入口があるけれど、その門は植木屋さんが入る時以外はずっと閉めっぱなし。そこにとにかく分厚いコンクリートの壁がそびえ立っているから、この辺に住んでいる人たちはそれを『ベルリンの壁』なんて言っていますよ」
熱海の別荘からほど近いマリーナには、兼重家の豪華クルーザーが停泊してある。そのことが報じられると、クルーザーについていたビッグモーターのロゴがなくなったとの証言も浮上した。記者がマリーナで確認すると、兼重家のものとみられるクルーザーを発見したが、ロゴがあった場所には剝がされたような跡が……。
前代未聞の不祥事によって一代で築いたビッグモーターの社長と副社長を退いた兼重父子だが、同社の株を100%保有するのは兼重父子の資産管理会社のため、今後もオーナーとして実質的に支配することになる。はたして、会社の急成長とともに手にしたものを守り抜くことができるのか──。(了)