中には「東京から関西の実家まで新幹線で何度も通い、亡くなった父のゴルフ会員権を探した」という人や、逆に「母親が生前に身の回りのものをすべて自分で処分していたため、形見になるものが1つもなかった」という人も。
「不用品の整理は、やらなさすぎはもちろん、やりすぎも悲しい結果を招きます。“元気なうちに”“みんなの前で”がベストです。“お盆休みに親族が集まったときに、着物や貴金属、食器などを欲しい人に早い者勝ちでゆずる、オークション形式で整理した”という家庭もあり、これは名案だと思いました」(明石さん)
本当に子供のことを思うなら、せめて「捨ててほしいもの」だけでも、1つにまとめて明確にしておくことだ。
「遺言書」を避けてはいけない
相続が発生するということは同時に「家族の誰かが亡くなった」ということでもある。ただでさえ親族全員に精神的な負荷がかかっているときは、どうしてももめやすい。
争いを未然に防ぐには「遺言書」をつくっておくといい。分割割合を明確に示したうえで、その理由を「付言事項」として書いてほしい。ルリアン代表の藤巻米隆さんが言う。
「付言事項には法的効力が及ばない場合もありますが、相続人の納得感を高めるのにとても役立ちます。“介護してくれた次女には多めに渡したい”“最後は離れて暮らしていたけれど、毎年長女が帰ってきてくれるのが何よりの楽しみだった”など、分割割合の少ない相続人に対しても、きちんと感謝の気持ちと愛情を示すこと」
「死ぬときの話なんて、切り出しづらい」「家族でお金の話はしたくない」──だが、相続は避けられない。勇気を出して、このお盆休みに「親族会議」をしてみてほしい。
※女性セブン2023年8月17・24日号