ガソリン価格の高騰に加え、10月には酒類や調味料など3716品の値上げも予定されており、これでもかと生活を追い詰めようとする値上げラッシュに頭を抱えている人も多いだろう。一方、制度を賢く使って子育てや就職、介護などでお金をもらっている人もいる──申請さえすれば受け取れる給付金・補助金を解説しよう。
「『介護休業給付』がなかったら、共倒れの可能性も充分にあったと思います」
そう話すのは、昨年の夏に脳卒中で倒れた夫を自宅で介護した、都内在住のSさん(57才)。
「後遺症でまひの症状が出たから、半年間はつきっきりで介護する必要があって、仕事を休まざるを得なかった。うちは共働きで生活が成り立っていたし、家のローンもまだ残っているから6か月分の私の収入がなくなったら、家計は火の車です。
どうしよう……と頭を抱えていたときに、介護を経験した同僚が“休職したらとりあえず、介護休業給付だけはもらった方がいい”とアドバイスしてくれて。そのおかげで、月に25万円が受け取れて、余裕を持って介護ができた。夫も次第に回復してきて、私も仕事に戻ることができました。本当に助かったし、もしこの制度を知らなかったらどうなっていたんだろうと思うと恐ろしいです」
5才の娘がいる埼玉県のYさん(40才)も、国の「補助」に助けられていると笑顔を見せる。
「仕事が立て込んで早く家に帰れないとき、『ベビーシッター補助制度』を利用して、シッターさんに保育園のお迎えと自宅保育をお願いしています。1日4400円の補助が出るのでありがたい限り。おかげで仕事と育児を両立できています」
物価の上昇が止まらない世の中でも家事や育児、仕事や介護は待ってくれない。そんな中で頼りになるのが、国や自治体に申請すれば受け取れる給付金や補助金だ。社会保険労務士の岡佳伸さんがこう語る。
「申請したらもらえる給付金・補助金の中には、出産や子育てに伴うものから夫に先立たれた後の生活を保障するものまで、女性が知っておくと有利で安心なものが多くあります。年齢や所得など要件はさまざまですが、もらえるものは賢くもらって生活の足しにしてほしいです」
不況と値上げラッシュに立ち向かうため、まずは制度を知ることから始めてほしい。