また、新旧NISAは別物として扱われるので、今年のうちに現行NISAを始めておけば、その非課税投資枠と新NISAの1800万円分を“両取り”もできる。
NISA口座を持つには、ネット証券なら証券口座の開設後にウェブ上での必要事項入力と本人確認書類のアップロードなどを行ない、税務署の審査を経て2~3週間ほどで手続きが完了する。
「現行NISAの口座を持っている人は、口座がある金融機関でそのまま新NISA口座が設定される予定のため、切り替え申請は不要になる見込みです」(馬渕氏)
何も考えたくない人も大丈夫
現行NISAでは「一般」か「つみたて」のどちらかを選ぶ必要があったが、新NISAでは併用も可能だ。
成長投資枠とつみたて投資枠を合わせた年360万円の非課税投資枠をどこまで使うかは自身の余裕資金の額にもよるが、投資の選択肢が広がることはたしかだろう。どのような活用法があるのだろうか。
「その人の考え方次第ですが、細かいことを考えたくないというタイプの人なら、成長投資枠もつみたて投資枠も、すべて全世界株式型の投資信託に使うのでいいと思います。
そのほか、オーソドックスな組み合わせとしては、つみたて投資枠は長期で安定成長が見込める全世界株式型の投資信託に充て、成長投資枠では定期的な配当収入に加え株価上昇も期待できる高配当の個別株や高配当銘柄を指数化して分配金の多いファンド、あるいは大きな上昇が期待できるインドなど新興国関連のファンドから信託報酬の安いものを選ぶとよいでしょう」(馬渕氏)
当然ながら投資にはリスクが存在するわけだが、物価上昇局面では預貯金をそのままにすることにも資産の実質減というリスクがある。プロが教える基本を押さえたうえで、資産運用の第一歩を踏み出す時なのだ。
※週刊ポスト2023年8月18・25日号