2020年代に入って流行する「Y2Kファッション」。Y2Kとは2000年代を意味する言葉で、へそ出しTシャツ、ルーズソックス、厚底ブーツなど、平成期のリバイバルファッションが、Z世代を中心に支持を集めている。アラサー以上の世代には、1990年代のアムラー現象やコギャル文化を思い出す人も多いだろう。
現在、そんなY2Kから進化した最先端のトレンドとして、注目を集めているのが「Y3Kファッション」だ。いったい、これはどのようなファッションなのか。
AIやメタバースを意識した“3000年代ファッション”
都内の服飾専門学校の講師・Aさん(30代女性)に話を聞いた。
「Y3Kとは、3000年代のファッションという意味で、今年に入ってから広まっているホットワードですね。ChatGPTに象徴されるAIの急速な浸透、VR技術やメタバース空間への注目によって、“近未来”的なイメージが広がり、それがファッションの領域にも取り入れられつつあります。
このトレンドの素地になっているのが、ここ数年のY2Kファッションの流行です。1990年代から2000年代初頭のコンピュータやインターネットカルチャーを想起させる様なアイテムが“カワイイ”と注目されています。たとえばZ世代にとってビデオテープやカセットテープ、MDやヘッドホンステレオといったアイテムは“新しい”ものですよね。Y3Kは、そのデジタルな空気感を、さらに未来のテクノロジー寄りにした感じ。
ヘアメイクにはグリッターやラインストーン、メタリックのアイテムを活用するのが流行しています。サイバー系ブランドの高額な服を着こなさなくても、たとえば『DIESEL』や『SHEIN』などを組み合わせてもY3Kっぽくなります」(Aさん)
K-POPアイドルが導入する近未来的イメージ
こうしたY3Kファッションのトレンドは、K-POPカルチャーの影響も受けているという指摘もある。韓国カルチャーに詳しいライター・Bさん(30代女性)が語る。
「Y3Kファッションは、すでにK-POPのアイドルグループのなかでは衣装やアートワークとして採用されています。たとえば、女性アイドルだとアバターのシステムを取り入れているSMエンタテインメントの『aespa(エスパ)』。
また現在、韓国を中心に活動している全日本人メンバーの女性グループ『XG』などもY3Kファッションを取り入れて注目されています。XGの最新曲のアートワークは、Y3Kに強烈なSF的イメージを融合させた最先端のファッションを導入し、YouTubeを中心に欧米圏でも大きな話題となりました。
男性アイドルでもSMエンタの『NCT』などは、コンセプト自体から“ネオカルチャーテクノロジー(NCT)”を掲げ、ネオな楽曲や近未来的なイメージを取りいれています。このようにK-POPアイドルをファッションアイコンとして憧れる若者たちが、近未来的なファッションアイテムに惹かれていくという流れはあると思います」(Bさん)