日本語には「三者三様」「十人十色」「百人百様」など、“人それぞれ”という意味の言葉がいくつもあるが、それは会社も一緒。100の会社があれば、100のルールがあると言っても過言ではない。なかには、「なんで社員がそんなことやるの?」と驚くようなルールもある。さまざまな会社で働く人たちに、“他の会社では、なかなかないだろう”という独自のルール・風習について聞いた。
Fさん(50代/女性)が勤める情報通信大手のA社には“おやつの時間”が存在する。
「私はもともとCという会社の社員でした。しかしC社がB社に買収され、さらに数年後にはB社がA社に買収され、1つの巨大企業に。社風が全く違う会社が一緒になったため、交流を図るという名目でティータイムが設けられています。15時になると社内に音楽が流れ、三々五々にティールームに集まり、お茶やコーヒーを飲みますが、ルール自体がA社の独断で出来たものなので、BやCの出身者は“ムダな時間”“くだらない”と小馬鹿にしています」
ティータイムへの出席は絶対ではないが、「電話対応ぐらいならOKでも、席に残って仕事をしているのはマズい」のだそう。
元日は全社休業のはずなのに…
他の会社を見ると、事実上の時間外出勤を強いられるパターンもある。ジュエリー販売のD社で働いていたKさん(30代/女性)は毎年、元日から会社に顔を出していた。
「一代で会社を大きくしたワンマン社長は、酒も飲まず、贅沢もせず、何の趣味もない超仕事人間。いくら年末年始が稼ぎ時とはいえ、元日は全社休業でしたが、社長は元日も朝から会社に来てしまうんです。後継ぎのボンボン息子によれば、社長はおせち料理を食べると、家族が止めるのも聞かずに会社に行く準備を始めてしまうのだそう。私は社長付きの秘書だったので出社せざるを得ず、幹部も全員、顔を揃えていました。
社長は毎年『君たちは来なくていいんだよ』と言うんですが、幹部が顔を揃えている様子にいかにも満足気。直々に“今年も頼むぞ!”などと声を掛けられると聞けば、“顔を出しとかないとマズいな”と思うじゃないですか。実際、元日に顔を出していた社員は出世コースに乗っている人間ばかりで、完全に忠誠度を図るバロメーターでした」
社長からはしっかり“お年玉”が貰えたが、本音では「そんなものはいらないから家にいて欲しい」(Kさん)と思っている社員も少なからずいたようだ。