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川辺謙一 鉄道の科学

【鉄道とダイヤ】運行計画が一目でわかる「列車ダイヤ」、運転士や車両の動きを示す「行程表」

「列車ダイヤ」のイメージ。列車の動きを示す「スジ」が記されている

「列車ダイヤ」のイメージ。列車の動きを示す「スジ」が記されている

 つまり「列車ダイヤ」は、列車の動きをあらかじめ定めた運行計画を示す図表であり、列車が「列車ダイヤ」の通りに動いていない状況を「ダイヤが乱れる」、「列車ダイヤ」を全般的に変更することを「ダイヤ改正」と呼んでいるのです。

「列車ダイヤ」は鉄道現場で働く人の間で使われているものなので、一般の人が見る機会はほとんどありません。ただし、交通新聞社が発行する月刊誌『鉄道ダイヤ情報』や、鉄道貨物協会が毎年発行する『貨物時刻表』には、「列車ダイヤ」が載っています。

 なお、私たちが駅などで見かける時刻表は、「列車ダイヤ」に記された列車の到着・出発時刻のみをピックアップして載せた表です。なお、日本の「列車ダイヤ」では、到着・出発時刻が秒単位で記されていますが、時刻表ではそれを分単位で記し、わかりやすくしています。

車両や乗務員の「ダイヤ」もある

 さて、ここまでは「列車ダイヤ」の話をしてきましたが、鉄道で使われる「ダイヤ」は「列車ダイヤ」の他に、電車などの車両や、運転士や車掌などの乗務員の動きを示す「行程表(通称・箱ダイヤ)」と呼ばれるものが存在します。

「行程表」が必要なのは、車両や乗務員に制約があるからです。そもそも使用できる車両や、出勤できる乗務員の数はそれぞれ決まっています。また、車両であれば定期検査を行う時期や走行距離、乗務員であれば出勤から退勤までの労働時間の上限がそれぞれ決まっているので、その範囲で車両や乗務員を運用する必要があります。言い換えれば、これらの制約の範囲で車両や乗務員をやりくりするためのスケジュール表として「行程表」があるのです。

    運転士の「行程表」の例(秒の表記は省略)。どの区間でどの列車に乗務するかが一目で分かるようになっている。(列車ダイヤ研究会著『列車ダイヤのひみつ』成山堂書店・2008年、p157を参考にして筆者作図)

    運転士の「行程表」の例(秒の表記は省略)。どの区間でどの列車に乗務するかが一目で分かるようになっている。(列車ダイヤ研究会著『列車ダイヤのひみつ』成山堂書店・2008年、p157を参考にして筆者作図)

     上の図は、運転士の「行程表」の例であり、JR京浜東北線における運転士の動きを示しています。これを見ると、運転士が東十条→赤羽→蒲田→大船→蒲田→大宮→東十条の順に乗務することや、それぞれの駅にどの列車に乗っていつ到着・出発するかが一目で分かるようになっています。

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