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日本の金利はなぜ40年近く下がり続けてきたのか? 世界経済の構造変化とバブル再燃を恐れた金融当局

金利は地味だけど、ものすごく重要

 一般的に金利には、とても地味な印象があると思います。その理由はいくつかあると思いますが、第一に、利率としての金利が非常に小さな値を扱うものだということがあります。

 たとえばこの項を執筆しているときの日本の10年物国債利回りという金利はおよそ0.5%です。実数で表記すれば、0.005というとても小さな値ですね。なんだか非常にせせこましい感じがしてしまうのです。そして、理由の第二に考えられるのは、金利が経済ニュースなどで取り上げられることが比較的少ないということです。

 もっとも、これらは金利が重要でない理由にはなりません。まず、取り扱う数字の小ささですが、これはあくまでも率としてみた場合であって、額としても小さいわけではありません。一般に個人が最も金利にかかわるのは住宅ローンでしょう。住宅ローンの平均借入額は、新築物件だとだいたい3000万円くらいになります。利率自体は現在、超低金利なのでとても低いですが、元本が大きければ利息額そのものは必ずしも馬鹿になりません。

 また、先ほど日本国債の利回りの話をしましたが、こちらも歴史的な低水準にあるものの、国債の発行残高は1000兆円ほどもあります。株式市場の時価総額は時期によって結構変動しますが、ざっくりいえば700兆円くらいです。それと比べても、金利が大きく関係する債券市場の規模がいかに巨大なものであるかがわかります。そうするとやはり、額としての金利もそれなりに大きなものになります。

 さらにいえば、金利は時期によって水準が大きく変化します。いまの日本は超低金利が続き、それが金利に対する関心を低める一因にもなっているのですが、いつまでもそうだとは限りません。

 たとえば、先ほども触れたように、2022年にアメリカでは金利がすさまじく上昇しました。返済までの期間が30年の住宅ローン金利は、年初の3%ちょっとから、10~11月には7%強にまで上がりました。このことによる家計への影響は甚大です。同じ期間のアメリカ10年物国債利回りをみると、こちらも1.5%ほどから最高で4.2%くらいにまで上がっています。アメリカ国債の発行残高は円換算でざっくり3000兆円以上の規模があるので、これだけの金利変動による影響はやはり非常に大きなものとなります。だからこそ、このアメリカにおける金利上昇が、現在の世界経済を大きく揺さぶる要因となっているのです。

 次に、経済ニュースであまり取り上げられないことについてです。この点については、いまのアメリカの話とは少し裏腹になりますが、株式相場や為替相場に比べると、金利は通常あまり大きく変化しないということがあります。だからニュース性が低いのです。結果として、メディアでも、株式市場に比べて金利に詳しい記者は少なくなり、ますます報じられなくなっていきます。

 もちろん先ほどのアメリカのように、珍しく金利が急変動すると経済的には大ニュースになるのですが、普段金利について報じていないものだから、扱い始めてもどこかおっかなびっくりで、ちょっとあやふやな内容も多く、受け手の側にも「金利のニュースはなんだかよくわからないな」といったイメージが広がってしまいがちです。

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