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アーム「8.6兆円上場」で反転攻勢の孫正義氏を待つ落とし穴 中国市場の低迷、ライバル台頭を越える最大のリスクとは

2016年、買収について会議する孫正義氏(左)とアームのスチュアート・チェンバース会長(写真=Shutterstock/AFLO)

2016年、買収について会議する孫正義氏(左)とアームのスチュアート・チェンバース会長(写真=Shutterstock/AFLO)

 数々の大博打に挑んできた孫正義氏が、最大の勝負に出た。肝いりの事業が満を持して米市場に上場。8兆円を超える巨額資金を手にしようとしている。だが、反転攻勢に出た孫氏の前には多数の「落とし穴」が──カリスマ経営者の命運やいかに。

泥沼を抜け出す光明

 最終損益4776億円の赤字──。8月8日、ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)が2024年3月期第1四半期の決算を発表。これで3四半期連続の最終赤字となった。

 だが、『経済界』編集局長の関慎夫氏は今回の決算に泥沼から抜け出す「光明」を見出す。

「救いとなるのは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が6四半期ぶりに610億円の黒字に転換したことです。これまでSVFは超巨額の赤字を垂れ流してきただけに、今回の黒字転換で“底打ち感”が出た」

 2017年、ソフトバンクGの孫正義会長兼社長が「10兆円ファンド」として鳴り物入りで立ち上げたSVFは、投資先企業の株価低迷などで巨額の損失をもたらした。

 2022年3月期、ソフトバンクGが過去最大となる3兆1627億円の最終赤字に転落したのも、SVFの業績悪化によるものだった。金融ジャーナリストの森岡英樹氏が語る。

「これを受けて昨年8月にテクノロジー会社『アリババグループ』の全保有株式を手放し、4.6兆円の利益を計上すると発表しました。今年2月にも孫さんは再生エネルギー事業『SBエナジー』の大部分を売却している。SVFの不振で孫さんは躓き続けてきた」

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