地方に目を向けると、知名度こそ低くとも世界トップの技術を誇る企業がある──。生成AIやEV(電気自動車)などの普及により、半導体の需要が世界的に高まっている。そんななか、半導体の製造に欠かせない製品を世界に販売して活況なのが、広島県福山市に本社を構えるローツェだ。
半導体の材料の一つにウエハと呼ばれる円形の基板がある。ローツェが製造するのは、工場内でそのウエハを自動で搬送するロボットだ。同社の広報担当者が語る。
「ウエハは非常にデリケートな製品でチリやホコリがかかるとショートするため、半導体の工場は病院の手術室よりもクリーンです。たとえるなら山手線内にゴマが1粒落ちていることも許されないほど。
このため昔はベルトコンベアでウエハを運びましたが、弊社の創業者が『ロボットで運ぶとホコリがつかない。これからはロボットの時代だ』と読み、自社開発に踏み切りました」
先見の明が功を奏し、ウエハ搬送ロボットは同社の売り上げの9割を占めるまでに成長。ウエハは1枚あたり数千万円と高額なため、ロボットは繊細な機能が求められる。
同社はベトナムにメイン工場があり、広島や熊本のほか中国、韓国、台湾、アメリカなどに各拠点として子会社がある。
「半導体工場は企業秘密のため、他社も含めてロボットをどの工場にどれほど納品したかは公表していませんが、弊社は世界シェアトップクラスだと自負しています」(ローツェ広報担当者)