しかし、もし契約書受取の意思で“いいね”の絵文字を送ったことを証明できれば、契約する意思がなかったことになります。その場合、日本では錯誤での契約は無効との反論も可能ですが、契約を承諾したと誤解されるような事情の下で絵文字で返事をすれば“重過失あり”として無効主張はできないように思います。
電子取引では、絵文字送信よりも手軽なモニター上の確認ボタンのクリックで、契約が成立する場合もあります。一瞬で成立する電子契約は、慎重対応が必須です。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2023年9月1日号