もう1つのメリットは「資金を手元に確保できる」ことです。「Cash is King」(現金は王様)という格言もありますが、現金は家計を守るための生命線です。余剰資金があれば、資産運用にまわしてリターンを得る選択肢もあります。
住宅ローン控除と団信のメリットが金利コストを上回る
それでは、1つ目のメリットとして挙げた「リターンがプラス」という点を、以下の条件のローンを例に、具体的に説明していきます。
・借入金額:3000万円
・変動金利:0.45%(35年間、金利が一定だと仮定します)
・返済期間:35年
このローンにかかる主な費用は金利コストと事務手数料で、その合計は約310万円です。
・金利コスト:35年間で約244万円
・事務手数料:契約時に66万円(3000万円の2.2%)
では、住宅ローンから得られる経済的メリット(住宅ローン控除と団信の価値)を計算してみましょう。
住宅ローン控除の詳しい計算方法はここでは省略しますが、新築物件などの条件を満たせば、この物件を購入した場合の13年間の住宅ローン控除の総額は約250万円です。
団信は死亡・高度障害の際に住宅ローン残高がゼロになる生命保険です。その残高分が保険金として支払われる生命保険を想定し、その保険を維持するために必要な保険料を団信価値として考えてみます。
住宅ローン残高は当初の3000万円からゼロ円まで徐々に減っていきますので、平均すると1500万円の生命保険に35年間加入した場合と同様になると考えます。ここでライフネット生命のシミュレーターを使って同条件の生命保険料を算出すると、約260万円となりました。つまり団信の経済的価値は約260万円と考えることができます。