森口亮「まるわかり市況分析」

“警戒イベント”ジャクソンホール会議が終了 パウエルFRB議長講演のポイントと今後の注目点は

ジャクソンホール会議に出席した、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、植田和男日銀総裁、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長(写真:時事通信フォト)

ジャクソンホール会議に出席した、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、植田和男日銀総裁、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長(写真:時事通信フォト)

 8月24~26日、年に一度開かれる経済シンポジウム、ジャクソンホール会議が開催された。FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長の講演での重要なポイントは何だったのか。また、その発言は、投資家にはどのように受け止められたのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんがジャクソンホール会議を受けての市場の反応や、これからの金融政策の見方について解説する。

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 2023年8月に入ってから、米国株式市場の調整が続いています。特に警戒感の高まるイベントとして知られる、年に1回のジャクソンホール会議が開催され、その中でもFRBのパウエル議長の講演内容が大いに注目されました。今回の講演のポイントや、講演直後に見られた市場の動向を踏まえ、今後の焦点について考えていきたいと思います。

パウエル議長の講演のポイントは?

 インフレがピークから鈍化したことについて「歓迎する」という表現があった一方で、まだまだインフレ率が高水準であることに言及し、「適切ならさらに利上げする用意がある」と述べました。金利を据え置く(利上げ停止)可能性を示唆させつつ、高水準な金利を維持する姿勢を改めて示しました。

 最近の経済指標の好調さを受けて「今後も成長が続くなら、インフレの懸念も高まり、金融引き締めの方針がより正当化される」と述べた点も重要です。

 景気が好調であれば、急いで利上げを停止したり、利下げを行ったりする必要性は少なくなります。これは、これまでの市場の予測に沿う「好調な成長→高金利」というシナリオにも合致しています。また、インフレの見通しについては依然として「不確実」としていて、インフレの収束が予想以上に早まる可能性も、再び高まる可能性もあることを強調しました。

 次回9月のFOMC(連邦公開市場委員会)での具体的な政策については触れませんでしたが、今後の展開次第で、追加利上げにも利下げ転換にも、どちらにも含みを持たせた結果となりました。

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