大手ネット銀行の住信SBIネット銀行が、「最長50年の住宅ローン」を提供することを発表し、大きな話題を呼んでいる。通常の長期ローンといえば「35年ローン」をイメージする人も多いだろうが、それをさらに超える超長期ローンだ。このローンを活用する場合、どういった使い方が考えられるか。住宅ローンアナリストの塩澤崇氏が、シミュレーションとともに解説する。
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8月4日、大手ネット銀行の住信SBIネット銀行が最長50年の住宅ローンを提供開始すると発表しました。ニュースでさかんに報道されたのでご存じの人も多いかもしれません。35年を超える住宅ローンは一部の地方銀行が商品化していましたが、大手ネット銀行では初となります。
より長期の住宅ローン商品が誕生した一因には住宅価格の上昇があり、ネットでは「50年もの長期間の住宅ローンを組んでも大丈夫なのか?」と心配する反応もあります。そこで今回は、この50年ローンの仕組みを分析したうえで、借り換え・新規借入での利用例とその場合の注意点を解説したいと思います。
最長50年で借りられるのは29歳までの人
今回登場した50年ローンには、金利・年齢に条件があります。
・金利:35年超~50年の場合、35年までの借入時と比べて金利が+0.15%上乗せ
・年齢:満18歳以上満65歳以下で、完済時満80歳未満
金利は35年までのローンに比べて0.15%上乗せされます。新規借入なら35年が0.32%で50年が0.47%、借り換えなら35年が0.299%で50年が0.449%となります。また、年齢は完済時80歳未満(つまり79歳まで)という条件が付されています。
新規借入と借り換えの場合で、変動金利と年齢ごとの最長の借入期間は次の表のようになります。50年間借りられるのは18~29歳の人だけで、45歳以上の人はそもそも35年間よりも短い期間しか借りられません。