投資情報会社・フィスコが、株式市場の8月28日~9月1日の動きを振り返りつつ、9月4日~9月8日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は1086.34円高の32710.62円と続伸。週末まで5日続伸と負けなしの週となり、東証株価指数(TOPIX)は週末にバブル崩壊後の高値を更新した。国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を無難に消化したことで、あく抜け感から買い戻しが先行。その後も、米雇用動態調査(JOLTS)、ADP全米雇用リポートが予想を下回り、米利上げサイクル終了の期待が高まるなか、米長期金利の低下基調が相場をサポートした。また、中国で景気対策が発表されたことや中国の購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回ったことも投資家心理の改善に寄与した。
今週の東京株式市場は強含みか。日経平均および東証株価指数(TOPIX)ともに先週は5日続伸と負けなし。TOPIXは週末に1カ月ぶりにバブル崩壊後の高値を更新した。出遅れている日経平均も25日線や75日線に続いて、50日線、13週線の上値抵抗線を上抜いた。米国でもナスダック指数とS&P500種株価指数が25日線、50日線、13週線を上抜いている。ダウ平均は75日線手前に伸び悩んでいるが、日米ともにテクニカルな好転は鮮明だ。
8月29日まで8日連続で2兆円台にとどまっていた東証プライムの売買代金は先週末にかけて3日連続で3兆円以上を記録し、商いも徐々に戻ってきた。先週発表された米国の雇用・物価に関する指標は全て市場予想以下に収まっており、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクル終了期待の高まりが支えだ。今週末は9月限先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)を迎える。地合いが改善しているなか、メジャーSQに向けて買い戻しが続けば、日経平均が33000円を捉える可能性はありそうだ。
さらに、中国経済に対する投資家心理が改善してきている点も支援材料になる、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出後、中国からのインバウンド需要の期待が後退していることはネガティブではある。一方で、中国国家統計局が発表した8月購買担当者景気指数(PMI)は、非製造業は予想を下回ったが、製造業は予想を上回った。また、中小企業までより広い範囲を対象とした民間版の財新製造業PMIは51.0と前月(49.2)から回復し、悪化するとの予想(49.0)に反して景況感の拡大・縮小の境界値である50を上回った。
さらに、中国の金融監督当局は住宅購入者を対象に頭金や既存住宅ローン金利の引き下げなどの対策を講じた。構造的な問題を抱える中国経済の本格的な回復は当面見込みにくいものの、投資家心理の悪化の歯止めに寄与し、株式市場に対する影響という点では最悪期を脱した可能性がありそうだ。