こうした人たちの背中を押すためには、「予算の使い方を大胆に組み替える必要がある」と小黒氏は説いた。
「仮に都がこれからもこの『018サポート』政策を続けるのであれば、1人の子供が18年間にわたって年6万円、要するに総額約100万円の給付を受けられることになります。であれば、受け取る都民としては、1か月ごとに少しずつ給付されるのではなく、出生の時点でぼーんと渡してもらえたほうがインパクトが大きい。国の出産育児一時金50万円と合わせると、出産によって一時金約150万円を受け取れることになる。
現行の仕組み(出産育児一時金)から『3倍増』となり、出産へのインセンティブが働く一方、1人の子に対して投じる財源の額は同じです。あるいは第1子への額は100万円よりも低く抑えて、第2子、第3子に200万円、300万円の一時金といった具合に傾斜を付けた設定をしてもいい」
第3子以降は「産んだら1000万円」に
小黒氏は「都には期待している」と続ける。
「少子化対策の本当のコアは働き方改革で、とりわけ出産・育児の機会費用の引き下げが最も大切だと考えます。伊藤忠商事が働き方改革の成果の一つとして女性社員の合計特殊出生率を公表して話題を集めましたが、東京都が都内の企業にこうしたディスクロージャーを条例で義務付けてはどうでしょうか。
また、少子化対策の成果を見える化することで、より効果的に政策を修正していくことも可能です。こうした尖った政策は、財源もあり、国に匹敵する政策能力も持つ都だからできる。都が手をつけることで、国に対して手本を示してほしい」(小黒氏)