いまや“身だしなみ”のひとつとして取り入れられるようになった脱毛だが、その技術はクリニックやサロンによって大きな差がある。「安さ」や「手軽さ」の代償として大きなトラブルを抱えてしまわぬよう、注意が必要だ。
かつてむだ毛の処理といえば自宅でするもので、レーザー脱毛の施術は「意識の高い若い女性のためのもの」という印象だった。
しかし、おしゃれの低年齢化で若年層が関心を持ったことや、低価格化、コロナ禍を経て清潔感への意識が高まったことなど複合的な要因から、いまや年齢、性別を問わず、“脱毛人口”そのものが大きく膨らんでいる。アデランスが2022年に行った調査によれば、20~60代の男女全体の34.2%に、自宅でのセルフケアを含めて何らかの脱毛の経験があるという。
現在、都市部では男性の受診が半数近くまで伸びているともいわれるほか、子供向けの「キッズ脱毛」や、将来の介護を見据えた「デリケートゾーンの脱毛」のニーズも高まり、未成年から高齢者まで、まさに老若男女に広がった。脱毛人口が増加する一方で、トラブルも頻発している。
脱毛レーザーでやけど・凍傷
今年の春、クリニックでわきの脱毛を受けた都内在住の女性・Aさん(43才)が言う。
「1回目の施術中からヒリヒリした痛みが強くて、終わって見てみると肌が赤くなっていたので、“これって大丈夫でしょうか”と相談したんです。すると“昨日、お風呂で肌をこすりました?”“お酒でも飲みました?”“日に当たっていませんか?”とまるで私のせいのような言い方をされて。どれも心当たりがないので否定したら“じゃあ、肌が弱いのかもしれませんね”とだけ言われて、その日は終了しました」
数日経っても赤みや痛みが引かなかったため、Aさんは別の皮膚科を受診。すぐにやけどと診断されたという。
「処方された塗り薬で幸いにもすぐに治ったのですが、後日、クレームを入れても“施術のせいではない”の一点張りで、相手にしてもらえませんでした。しかも、“加齢で肌も弱っているのかも”とまで。もうそれっきり通っていません」(Aさん)