6月には、大阪のエステサロンの経営者らが無資格で医療脱毛を行い、20代の女性の背中にやけどを負わせたとして書類送検されるなど、事件化もしている。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが解説する。
「脱毛機器の照射光の強度を調整するフィルターをつけ忘れたまま施術を行ったため、女性は背中一面に真皮(表皮の内側)にまで至る大やけどを負いました。皮下にある脂肪や神経まで焼けることはなかったようですが、全治1~2週間のかなりひどいやけどです」
こうした事件は後を絶たない。背景にあるのは、脱毛需要の増加から、新規参入が増えたことだ。
「サロンやクリニックが増えたものの、人手が追いついていない現状があります。価格競争も激しく、充分な知識や技術のないアルバイトが施術をして起きるミスや、運営者の知識不足による事故が目立ちます」(室井さん)
やけどを負っても、サロンには医師がいないため、その場で診てもらうことができない。提携クリニックがあれば紹介してもらい、なければ自分で病院を探すことになる。
ただし、クリニックなら100%安心というわけでもない。美容・医療ジャーナリストの海野由利子さんが指摘する。
「医師免許さえあれば、美容医療未経験の内科医や精神科医でも医療脱毛をすることができます。また美容医療を行う皮膚科医や形成外科医在籍のクリニックでも、実際の施術中にその医師が不在だったり、カウンセリングや治療を看護師任せにしたりしているケースもあります」
介護脱毛でVIOに痛み
最近では、介護が必要になったときのために、40~50代からアンダーヘアのVIO脱毛を考える人も多い。しかし、デリケートゾーンの肌トラブルは、より深刻な事態を招くこともある。都内在住の会社員女性・Cさん(54才)は、ここまでひどい目に遭うとは想像しなかったと明かす。
「初回の施術後、トイレに行っても痛いし、下着をはくのも耐えられないほどの痛みに襲われました。なんとか痛みが引いていった2クール目の終わりくらいから、施術部分の黒ずみが気になるようになったものの、“自然に気にならなくなりますよ”と言われたんです。全10クールを終えて確かに毛はなくなったものの足のつけ根あたりまで黒ずんだやけどの痕のようなものが残り、温泉などでは恥ずかしくて。こんな思いまでしてやる必要があったのかなと後悔しています」
皮膚も弱く、毛が密集しているVIOは、あらゆる脱毛の中でも難易度が高い。佐々木さんが言う。
「毛質がもっとも濃く密集しているのと、体のほかの部位に比べて肌の色素も濃く、レーザーが反応しやすい部位です。照射レベルをきちんと見極めないと、やけどのリスクが高まります。しっかりと教育を受けた医師または看護師でないと、なかなか難しい。また、医師が術後の経過までしっかり診てくれるところで受けた方がいいですね」
脱毛トラブルにはくれぐれも注意してほしい。
※女性セブン2023年9月21日号