近年、レジ係の女性がネームプレートを見られてストーカー被害に遭ったり、バスやタクシーの運転手が名前を掲示する義務が廃止されるなど、ビジネス面でも個人情報を保護する流れが進んでいる。その一方で、今でも従業員の名前などを積極的に表に出す会社もある。そうした会社で働く人たちはどんな思いを持っているのか、実際にトラブルに遭遇したことはあるのか──。
都内に住むYさん(40代/男性)が常連の飲食店では、店員の名札に名前だけでなく出身地も書かれているという。
「簡単に言えば、“お客さんと会話が弾むように”ということなんでしょう。私もお酒を飲むと、出身地に触れて『行ったことあるよ』『良いところだよね~』なんて軽口を叩くこともありますが、新人の女の子が『○○弁で喋ってみてよ』とか絡まれている姿を見ると、本当はイヤなんじゃないかなと思うことも」
Kさん(40代/女性)は今でも新聞を取っているが、そこに挟み込まれる折り込み広告には、インパクト抜群のものがあるという。
「時々、目にする保険会社の折り込み広告には、新人担当者の名前とともに顔写真・出身地・出身大学・趣味が必ず記されています。
個人情報を出すことで“担当者の顔が見える”ということなんでしょうが、毎月数回、何百軒の家に自分の名前と顔写真入りのビラが配られるなんて、どんな気分なんでしょう。時には『学生時代はソフトボールに打ち込みました』といったミニ作文が添えられていることもあって、もし自分だったらキツいと思う」